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管理人の「徒然なるままに日暮し」な状態報告と創作公開場所とします。
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珍しく読書しました。(←職業的にも、社会人としても問題?)
最近、必要に迫られた内容の図書しか読んでいなくて、
興味を惹かれただけの本を手にとる時間を作ろうとできなかったのです。
自分の問題で、時間がなかったわけではありませんが。
(マンガは読んでいたし;)
そして移動図書館(バスが本を運んで来ます)で借りたのが
『死せる花嫁への愛―死体と暮らしたある医師の真実』 ベン・ハリスン著
でした。

以下、感想など~。(すごく長くなってしまったので、ご注意ください!)

 舞台はフロリダ。キー・ウェスト島。
 時は世界恐慌の最中。
 20代の女性に一目ぼれした自称“伯爵”が彼女(エレナ)の死をきっかけに『愛をする』事件です。
 「こんな身体じゃ結婚できないけど、私が死んだら身体を預けるから面倒を見てね」
とエレナが言ったこと、そして『黒い結婚式』というスペイン語の歌を伯爵に訳して教えたことが事件へと繋がりました。

 彼女の没後、葬儀の一切を取り仕切った伯爵は、1年後にはサマーハウスのような霊廟を建てます。
 遺体をそこへ移す際、彼女の体が湿気で痛んでいることに心を痛め、遺体をホルマリンのような液に浸けます。
 しかし、霊廟を立ててしまうと、何もすることがなく物足りなさを感じます。
 せっせと霊廟に通い、彼女と話すうちに彼女が自分の愛を疑い、伯爵に『黒い結婚式』の歌を歌いかけてくることを感じ始めたのです。
 この『黒い結婚式』という歌は、愛する女性を失った男性が、夜な夜な彼女の墓を訪ねて、ついに、彼女を掘り起こして、自宅へ連れて帰り、亡骸を抱いて動かなくなるという内容です。
 伯爵は彼女が自分と共に帰りたいと訴えているのを聞き、計画を立て、彼女を“墓から盗み、救い出します”。
 自作の溶液に浸し、おまけに美術的な才能もあったので欠けた部分を蝋で補いました
 義眼も手に入れ、発見されたときのエレナは死後9年経っていましたが、きちんと生前の面影を残していたということです。
 そうして7年の間、伯爵はエレナの体を保ち、愛を語らい、彼女の復活の時を待ちました。
 しかし、7年秘密が守られたことで、伯爵は自分の不審な行動を意識できなかったのです。 
 伯爵の不審な買い物などが疑惑を呼び、エレナが墓にいないことが町で噂になりました。
 それを聞いたエレナの姉は不安でたまらなくなり、墓を開こうと騒ぎます。
 それについて伯爵は、「家で綺麗なままで寝ているから安心しなさい」とエレナの姉に遺体を見せるのです。 
 姉は伯爵にエレナを霊廟へ戻すように言いますが、伯爵は認めようとしないので、とうとう告訴しました。
 罪名は墓泥棒です。墓を故意に暴き破損した罪――。
 伯爵は精神鑑定も受けますが正常だと判断されます。
 世間は彼の愛に同情し、彼を擁護する動きも見られました。
 検事も前代未聞の事件に事を早く収めたかったようです。
 伯爵は結局、墓荒しの罪には問われなかったのですが、エレナからは引き離されます。
 墓の場所も教えられず、エレナは切断され箱に収められてひそかに埋葬されました
 島から出る伯爵は、「故意に墓を荒らすとはこういうことだ」と霊廟を爆破して去ります。
 そして、余生をエレナのデスマスクと写真に囲まれて過ごしたのです。


 本の中ほどに、写真のページがありました。
 エレナの生前の写真やそして蝋で固められ、化粧を施された遺体の写真もあったのです。
 伯爵がエレナの写真に微笑みかける写真や、(恐らくエレナがその中で液に浸っているだろう)恒温器の写真も。
 写真のお蔭で、そこから一気に、私はこの事件をノンフィクションとして受け止めざるを得ませんでした。
 「利己的な愛に執着した伯爵」は字面ではジキル博士のように、文学に住む存在であったのに、急に血肉を携えたので、読み終わったときには恐怖感が残りました。
 
 伯爵の愛は、エレナの死がなければ、行く先がなかったと思います。
 死んで初めて始まった愛は、彼女の体を保つことで証明され、伯爵は「愛をしている」自分に陶酔していたのだと感じています。しかし、とても一方的で利己的な行いです。
 生前美しかった彼女は、伯爵が「生きている時よりも美しく清らか」という蝋と絹で包まれた遺体にはどこにも見られませんでした。
 伯爵は愛を掲げて、エレナの亡骸と遊んでいたとしか思えません。

 今、ACで『思いやりは見える』というCMが続いていますが、愛も行動に移さなければ見えない。
 「愛しています」という言葉だけでは足りない・・・っていうのはあると思いますが、「愛を、誰のために、どのようにしていくのか」は「思いやり」と違って誰も教えてくれないなぁ・・・と思ったのです。

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