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記憶の彼方だと思いますので、カテゴリーの“創作/2次創作”から前回をご参照下さい。
自分を制止しようとする声を背後に残して、鈴は阿高の背中を探した。
すぐに追いかけたつもりなのに、その陰は見えない。
鈴の額のガーゼに驚く知人が自分を呼び止めるのも煩わしく思えた。
「ちょっと・・・」と苦笑いでかわして、先を急ぐ。
先といっても阿高がどこへ行ったのかわからない。
多分道場に戻ったのだろうと思うが、どのルートで向かったのか、見当もつかなかった。
ここが他校ということも鈴を邪魔している。
日常の阿高が使う廊下などこの数日で知れるわけがない。
キョロキョロしながら足を速めるけれど、他校を駆けるのも憚られた。
阿高に繋がる糸でも見えればいいのに・・・。
そんな都合の良い願望さえ浮かぶ。
そんな考えを追い出そうと、ふるっと首を振ったときトンと肩を捕まえられた。
「危ないなぁ」
自分の視線の先、阿高と同じくらいの高さに漆黒の瞳があって、そこに鈴が映っていた。
「藤太さん・・・」
「阿高と一緒じゃないのか?鈴が倒れたって聞いてすっとんでったんだけど」
「はい・・・来てくれたんですけど・・・」
「すげーたんこぶだな。でも元気そうで良かった」
鈴の語尾が消えたのに気づかなかったのか、藤太はニカっと音がしそうな笑顔を見せた。
「ありがとうございます」
素直に鈴もそう言うことができた。
どうしてさっき、そうしなかったのだろう。
言っていれば今頃こんなふうに阿高を探してなどいなかったかもしれないのに。
鈴の表情が曇ったことを見て取った藤太は眉を寄せた。
「どうしたんだ?具合でも悪くなった?」
鈴は首を振る。
「私、阿高さんのために何もできてないのに・・・。」
「え?」
「阿高さんは私を心配してくれて、走って保健室に来て、様子を聞いてくれるのに、
私は何も役に立ってないの」
役立つどころか、礼さえ言えていない。
がっかりされても当然だ。
「阿高さん!」
声が聞こえた。
「何だ、あっちの角にいるのか」
二人で廊下の角を曲がった。
廊下の先に阿高の背中と髪の長い女の子の姿がチラと見えた。
阿高の手はその女の子の肩を抱いているように見えた。
思わず唇を噛んでしまったが、「私にそんな資格なんてあるの?」と鈴は自問する。
私は阿高のメリットになれない。
「あのさ、アレはきっとどうせ下らない落ちがつくと思うから、こっち除けといて」
頭上から声が降ってきて、鈴は自分の心から引き戻される。
「「自分は役に立たない」からって遠ざかったら、それこそ何の存在にもなれないだろう?
俺は自分にできる役を探すためにも、側にいようとするよ」
はい。まだモヤモヤしてます。。。
久しぶりなのに、スッキリまで行かずに申し訳ありません。
藤太・・・流石 叔父・・・なカンジで。